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かりに投資家は100ドルを売って9600円を手に入れる。 他方、3カ月後の直物レートが(b)1ドル102円であれば、投資家は100ドルを売って1万1100円を手に入れることができる。
かりに3カ月後の直物レートが(a)か(b)かのいずれかであれば、投資家は現在9700円の投資で、3ヵ月後にように先物取引をしない場合には、将来の投資価値は将来の直物レートが1ドル96円になるか1ドル102円になるかによって、9600円になったり、1万200円になったりするという意味で、投資家は為替リスクを負うことになる。 それに対して先物取引を組み合わせることによって、ドル債投資における為替リスクをヘッジした場合のキャッシュ・フローを示している。
3カ月後に受け取る償還金を3カ月後の直物レートで売って円に換えているのに対して、3カ月後に受け取る償還金を1ドル99円の先物レートで、現在、売るという先物売り予約を結んでいる点で異なっている。 ケースでは、3カ月後の直物レートがいくらであるかにかかわらず、投資家は3カ月後に受け取る100ドルの償還金を1ドルにつき99円で売って、確実に9900円を手に入れることができる。
したがって、先物売り予約が組み合わされた投資においては、現在970で、為替リスクが回避されている。 ように先物売り予約によって為替リスクを回避することを、先物でカバーするとか先物でヘッジするとかいう。
先物でカバーされたドル債投資のことを、一般的にヘッジ・ポンドと呼んでいる。 ポンドとは債券の意味である。
右では償還までの期間、すなわち満期が1年以下の短期のドル債投資の場合について説明したが、満期までの期間が1年を超えるドル建ての長期債券に投資する場合には、毎年ドル建ての確定利子が支払われる。 したがって、場合には為替リスクを回避するために、満期までの間に支払われるドル建ての利子についても先物売り予約を結ぶ必要がある。
最近は、常時5年先までの先物取引市場が存在するので、満期までの期間が5年以内であれば、投資家は毎年受け取る利子と満期における償還金のすべてについて、先物でカバーして為替リスクを回避することが可能になっている。 なお右では先物でカバーされたドル債投資について述べたが、実際のドル債投資が常に先物でカバーされているわけではない。

先物でカバーされないドル債投資の場合には、9700円の投資で3カ月後の直物レートが1ドル96円のように円高・ドル安になれば9600円しか受け取ることができないが、1ドル102円の円安・ドル高になれば、値を9900円に確定するよりも、1万200円のようなチャンスに賭けようとする投資家は、先物でカバーされないドル債投資を選択することになる。 ように先物でカバーせずに、為替リスクを積極的に負担する投資のことを、為替投機という。
銀行間短期金融市場輸出金融と先物ドル売りによる為替リスクのヘッジ合には、銀行はドル建ての輸出代金の受け取りというドル建て債権を保有することになるので、ままでは為替リスクを負担することになる。 場合、銀行が為替リスクを回避するには2つの方法があるが、ここでは先物取引を利用して、一方で、直物レートで円を売ってドルを買うとともに、他方で、先物レートでドルを売って円を買うというように、直物と先物とを逆方向に売買する取引をスワップ取引という。
スワップとは交換の意味である。 それに対して輸出予約や輸入予約のように、直物の逆方向の売買を伴わない先物取引をアウトライトの先物取引という。
場合について説明しておこう。 銀行が輸出業者Aから一覧後6カ月払いのドル建て期限付き輸出手形を買い取る場合に発生する為替リスクを、先物のドル売りによって回避する方法を示したものである。
一覧後6カ月払いとは、決済日が6カ月後であることを意味する。 輸出手形を買い取った銀行Xは、6カ月後に輸出代金を受け取ることになるが、為替レートの変動による為替差損を被ることを回避するために、次のような資金操作を行う。
まず銀行Xは銀行間外国為替市場で、銀行Zに6カ月先物のドルを売るという契約を結ぶ。 銀行Xは同時に、銀行間短期金融市場(インターバンク・マネーマーケットともいう)で銀行Yから輸出業者Aに支払うための円を借り入れる契約を結ぶ。
取引における銀行Xのキャッシュ・フローを示したものである。 輸出業者Aから買い取った輸出手形の額面価格は100ドルである。
額面価格とは、6カ月後に輸出代金として受け取る金額のことをいう。 銀行Xはこれをときの対顧客の直物レートである1ドル98円で買い取ったとすると、銀行の現在のキャッシュ・フローはマイナス9800円になる。

銀行Xは銀行間短期金融市場で9800円を銀行Yから借り入れて調達する。 輸出金融から生ずる将来のドル建て債権保有に伴う為替リスクを先物ドル売りによって回避しているわけである。
なお、銀行Xは輸出手形の買い取りと先物ドル売りという取引においては、前者の取引で直物ドルを買い、後者で先物ドルを売っている。 したがって、これもスワップ取引である。
日本の輸出業者はドル建ての輸出契約を結び、為替リスクを回避(ヘッジ)しようとするときには、輸出予約をする。 先物のドルを売って、先物の円を買うことである。
他方、日本の輸入業者がドル建ての輸入契約を結んだときに為替リスクを回避しようとする場合には、輸入予約をする。 先物のドルを買って、先物の円を売ることである。
ように、日本のドル建ての輸出業者は、先物のドルの供給者であり、先物の円の需要者である。 他方、ドル建てで輸入する輸入業者は、先物のドルの需要者であり、先物の円の供給者である。
こうした先物のドルの供給と需要との関係で、先物レートが決定される。 それに対して、輸出業者が将来受け取ることになっているドル建ての輸出代金を先物で売っておかない場合には、将来の円・ドルレートの変化に応じて、為替差益を得たり、為替差損を被ったりする。

将来受け取ることになっているドル建ての輸出代金のことを、ドル建て債権というが、ドル建て債権を先物で売らないということは、為替リスクを負担していることに他ならない。 輸出業者がドル建て債権を先物で売らないのは、将来、ドル建て輸出代金を受け取ったときに、時の直物レートでドルを売って、円に換えて利益をあげようとするからで同じことは輸入業者についてもあてはまる。
輸入業者が将来支払わなければならないドル建ての輸入代金のことを、ドル建て債務という。 輸入業者がドル建て債務を負っている場合に、先物でドルを買わないでいることは、輸出予約をしない輸出業者と同じように、為替リスクを負っていることになる。
輸入業者が輸入予約をせずに、先物のドルを買わないでいるのは、将来、円高・ドル安になる可能性が高いと予想して、将来の時点でドルを買った方が有利であると考えているからである。 場合にも、輸入業者は為替レートの変化から利益を得ようとしており、為替投機をしていることになる日本の居住者が米国国債のようなドル建ての国債に投資する場合にも、投資家はドル建ての利子の支払いや償還金の受け取りというドル建て債権を持つことになる。
したがって、ドル建て債権の利子と償還金を先物で売らないでいることは、為替投機をしていることにある。

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